PDM(製品データマネージメント)とはなにか?

PDM(Product Data Management)システムとは商品の企画、設計、技術、生産工程などの情報を管理するシステムのことで、設計時に作成されるCADデータやBOM(部品表)情報を一元管理し、複数の人とデータを共有し、コンカレント(同時)に設計作業を実現する仕組みです。 主に製造業で活用されており、予算や工程の変更に応じて各部門が材料の選定や生産スケジュールを調整するなど、部門を超えた迅速で効率的な製品管理や、サプライチェーンの効率化が図れるようになります。

1. PDM導入の4つのメリット

PDMを導入することにより、4つのメリットがあります。それぞれのメリットについて詳しく見ていきましょう。

1-1.開発LT(リードタイム)の短縮

PDMを活用する部署では、様々な担当者が膨大な量の情報を扱います。そして商品数が多いほどその量は時系列的に増大し、単純なサーバのフォルダ管理では限界がやってきます。PDMを導入すれば製品情報を共有できるので、過去情報の検索、参照も容易になり、設計データの再利用やバージョン管理も可能になります。総じて開発期間の短縮とミスの削減を期待できます。

1-2.業務プロセスの標準化

製造業では、品質を遵守するうえで業務プロセスの標準化が大変に重要です。PDMがあれば、業務プロセスも共有できます。ワークフロー機能を活用することにより、それに沿って業務を行うことでプロセスの見える化や標準化が可能になります。

1-3. 生産性の向上

業務プロセスで莫大な量の情報管理を強いられる製造業は、情報の管理をいかに効率的に行うかによって生産性に大きな差が生まれます。商品数が多い会社や管理すべき情報が多い会社ほど、PDMを導入することにより情報管理、検索のリードタイムが大きく改善されます。情報を一元管理し、ワークフローを効率化してスムーズな製品開発を行うことは、結果的に生産性の向上につながります。 また、システム機能(ワークフロー)に沿って業務を進めれば良いので、業務標準化が実現でき、業務プロセス全体の生産性の向上も期待することができます。

1-4.内部統制支援

製造業では、製品の不具合が発生した際に原因をすばやく究明し、速やかに対応をとり、説明責任をはたす必要があります。 PDMを導入すれば、強力な検索機能により様々な切り口で業務プロセスのトレース追う事が可能で、内部統制の支援を実現することができます。

2.認識しておくべき PDM導入の2つのデメリット

PDM導入には様々なメリットがある一方で、認識すべきデメリットもあります。導入を検討する際は下記のような点を認識し、導入を検討しましょう。

2-1.導入と教育に時間とコストがかかる

導入するシステムにより差がありますが、一般的にPDMシステムは複数の業務プロセスを一元管理できるメリットがある反面、高額です。 また、導入の際には社員の教育コストと習得までの時間がかかります。システムへの理解度が足りないと導入メリットを得にくく、経営上の損害が発生する可能性もあります。本格的に導入する前に勉強会等の実施を経て、社員のPDMに対する理解度を高める必要があります。

2-2. 投資対効果が計測しづらい

設計開発業務の効率化を実現するために導入されるPDMシステムは設計部門だけに導入してもあまり効果は期待できません。 システム導入時には設計や品証および製造の部門まで含めた関係者まで広めてシステム計画を立案するのですが、全ての製品ライフサイクルにおける製品情報を一元管理するものであり、管理の対象範囲が広いので定量的な目標を設定しにくい側面があります。 また、前項でも触れたように社員の習得までに一定の時間がかかる特性上、導入効果の明確化が困難です。

3. PDMの主な機能

PDMを活用することにより得られるメリットはどんな点か、理解出来たのではないでしょうか。PDMシステムには一般的にどのような機能があるのか解説していきます。

3-1.データ管理

PDMを導入することで、企画設計に関する情報から商品マスタまで、各工程で管理すべき情報を一元管理できます。 管理対象となるデータは以下のようなものになります。
・CADデータ管理
・図面管理
・文書(ドキュメント)管理
・部品表(BOM)管理
・設計変更管理
各データ同士を紐付けて管理することも可能です。例えば、商品情報と紐づけて、図面や画像、文書など様々なファイルを管理する、といった方法が考えられます。

3-2.検索機能

PDMに登録されている膨大な情報をキーワードや様々な検索条件で検索、抽出する機能です。システムによっては、ファイル内の文言でのフルテキスト検索やプロパティ情報を基にした検索も可能です。商品数や部品数が多い会社ほど検索機能の性能で業務効率が大きく変わるので、重要な機能となります。

3-3. ワークフロー機能

標準業務フローに沿ってワークフローを設定し、システム上で申請・申請が行えます。進捗が遅れている商品にアラートを表示したり、承認ポイントを置くことで重要な工程で必ず責任者がチェックし、未承認案件を明示化するなど、部門の中で発生するワークフローを可視化することが出来ます。
ワークフローは組織に応じて柔軟に変更できます。

3-4. セキュリティ機能

ユーザーグループやユーザーごとに権限を設定することにより、他部署に共有したくない情報があれば、そのデータへのアクセスを制限できます。これにより、重要な図面の意図しない改竄といった問題を防げるでしょう。権限設定機能を活用すれば、使用できるメニューのコントロールや、誰がどの情報にアクセスできるかをコントロールできます。

4. お勧めPDM製品

昨今、製品設計情報の源流管理を統合的に管理出来るPDMシステムへの期待が大きく高まっています。このような時代背景にも関わらず、生産管理システムや在庫管理システムなどに比べて選択肢が多くありません。リリースされているシステムの多くが大手ベンダーによる高額なソリューションが殆どです。
このような中、経験豊富な独立系ベンダーがリリースしたソリューションで導入実績も多数あるPDMシステムの資料をご用意させていただきました。
PDMの導入を検討している方は記事の最後にある資料ダウンロードよりPDM Eco-FRAME資料をぜひ入手いただき、ご覧ください。

5. まとめ

PDMは各業務プロセスを一元管理するシステムで、業務プロセスの共有も可能です。これにより、生産性の向上と納期の短縮が期待できます。 PDMは大規模システムであり、関連部署も多岐に渡るため、容易に導入できるものではありません。システムの導入には時間とコストがかかるため、組織横断的にどの程度業務を効率化できるかを精査する必要があります。
まずは自社の業務フローと課題を整理してPDMの活用方法を検討してみてはいかがでしょうか。

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