生産管理システムの選び方とは?比較のポイントを押さえて、最適なシステムを導入しよう

海外を含む市場競争の激化や国内の人手不足などで、企業はこれまでの仕事の進め方から脱却し、効率性を高める必要があります。

製造業にとっては、生産管理は利益に直結する重要な基幹業務です。近年は、システムの発達や普及により、生産管理を含めた多くの業務が自動化・効率化できるようになっています。

この記事では、製造業の生産管理を支える、生産管理システムについて取り上げ、選び方のポイントを解説します。

1. なぜ生産管理システムが必要なのか

製造業にとって、生産スピードや在庫管理、原価や歩留まり率は利益に直結するため、生産計画管理を適切に行うことは非常に重要です。(生産管理については、こちらの記事もご確認ください。)

しかし、生産管理は、生産計画の立案から調達計画、在庫管理、品質管理、原価管理など複数の業務を含みます。また、これらの業務は複数の部門で分担していることも多く、部門間で連携することも求められます。そのため、「伝言ゲーム」と呼ばれるように部門間でのコミュニケーションに齟齬があると、生産に影響を与え、スケジュールに遅れが生じてしまうこともあります。

さらに、生産現場では熟練工と呼ばれる長年の知見を有する社員も少なくなく、そのような人達に業務が属人化していることもあります。これらの課題を解決し、生産管理の精度とスピードを向上させるには、生産管理システムを使って管理することが必要です。

2. 生産管理システムの選択がなぜ難しいのか

生産管理は、製造業にとっては基幹業務であるため、生産管理システムの選択は非常に重要です。しかし、一方で選択の難しさもあり、失敗してしまう例も少なくありません。ここでは、なぜ選択が難しいのか解説します。

理由1:種類が豊富

製造業と言っても、業種や生産方式、生産管理にどの業務まで含めるかなど様々に異なります。そのため、生産管理システムも複数の種類が存在し、導入者が最適なシステムを導入できるようになっています。しかし、選択のポイントが明確になっていない場合などには、選択肢が多すぎて、どれが自社に最適化を判断し、選択するのが難しくなります。

理由2:過剰機能はマイナスの影響をもたらす

企業によっては、大は小を兼ねると判断し、多くの機能を搭載しているものが良いと考えることもあるかもしれません。しかし、過剰な機能にはデメリットがあります。まず、多くの機能を搭載していることにより、不要なコストが発生します。また、複数の業務・複数の部門が関わるため、不要な機能が搭載されていたり、新しく行えることなどが発生すると、操作や業務の進め方に混乱が生じたりする可能性があります。

生産管理システムは基幹システムのため、入れ替えるのには、システム担当者にとっても、利用する社員にとっても、手間がかかり非常に難しくなります。導入時に自社で活用されるシステムを導入することが大切です。

理由3:求める機能が搭載されていないと、拡張が必要になる

逆に、必要な機能が搭載されていない場合には、後から機能拡張が必要となります。その場合、当初からコストが膨らみ、再びシステムを変更する手間も増えます。円滑に業務を進めるために必要であれば、機能拡張は避けられませんが、最初から導入できるものは最初にカバーした方が効率的です。また、システムによっては後からの機能拡張ができないものもあります。

理由4:不適切なシステムでは、従来方式と混在する

上記のような混乱や複雑さが生じてしまうと、全ての業務でシステムが活用されにくくなります。生産現場では、今までのやり方が浸透していることも多く、業務の流れがスムーズに整理されないと、時間をかけて複雑なことを習得するよりは今までのやり方の方が効率的と考えられる可能性があります。その場合、ある部門ではシステムが利用され、ある部門ではあまり活用されないなど従来方式と混在し、逆に連携が難しくなる可能性があります。

3. 生産管理システムの選択のポイント

このように、生産管理システムで業務を効率化するには、自社に適したシステムを選定し、各部署で活用されるように導入することが必要です。次に、どのような点を抑えて選定すべきか、いくつかのポイントを取り上げます。

ポイント1:自社の課題・導入目的を明確化する

生産管理システムの選定をする前に、必ず自社の現状にどのような課題があり、それらに対して、システムでどの課題に対して、どのように解決したいかを整理する必要があります。課題によっては、システムでは解決できないものもあるかもしれません。また、生産管理システムの種類は豊富なため、予めどのような機能が必要であるかを目的から整理するようにしましょう。このフェーズでコンサルティング企業を活用するケースも少なくありません。

ポイント2:自社の業務形態にあったシステムを選択する

製造業といっても、食料品の製造と組み立て業など種類は様々で、それぞれ必要とする機能は異なります。システムによっては、業種別に必要な機能をパッケージ化しているものもあります。

効率的に選択肢を絞り込むためには、自社の業種にフォーカスしたものから検討を始め、その後に必要機能を照らし合わせることも検討してみてください。

ポイント3:自社の生産方式にあったシステムを選択する

自社の生産方式に対応したシステムを選定することは非常に重要です。製造業の生産方式は、見込み生産や受注生産、ロット生産や個別生産などに分かれます。企業によっては、製品別に複数の生産方式を取り入れている場合もあるでしょう。

自社の生産方式に対応しているか、複数の生産方式が混在していても対応可能か、必ず確認するようにしましょう。

ポイント4:クラウド型かオンプレミス型か

クラウド型、オンプレミス型、どちらを選択するかも検討が必要です。

クラウド型は、初期費用を抑えることが可能で、アップデートなどのメンテナンスの手間も省くことができます。一方で、自社にあわせたカスタマイズは難しく、データも提供会社のサーバーに保管されるため、セキュリティが厳しい企業には適さないかもしれません。

オンプレミス型であれば、初期費用やメンテナンスの手間はかかりますが、ある程度のカスタマイズも可能です。また、自社のサーバーにデータを保管するため、セキュリティは非常に強固です。

ポイント5:操作性とサポートはどのようになっているか

機能面で最適なシステムを選定・導入しても、操作や業務フローが複雑であれば、社内で普及させることは難しく、システム担当者のサポートの手間もかかります。システムに不慣れな社員でも操作がしやすいかどうかも確認するようにしましょう。また、基幹システムとなるため、システムに不具合が生じた場合に生産がストップし、損失が発生しないようにすることは非常に重要です。

24時間稼働させている生産ラインであれば、万一の際に24時間体制でかけつけてくれるか、確認するようにしましょう。

まとめ

製造業が利益を高めるには、適切な生産管理が重要です。生産管理には多くの業務が含まれ、関連部門も多いですが、生産管理システムを利用することで効率化を図ることができます。

システムの選択肢が多すぎるため、選択は難しい面もありますが、選択のポイントを抑え、要件を整理することで、最適な選択が可能です。最適なシステムを選択し、社内での活用につなげてください。

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