日程計画とは、お客様の要求する納期を遵守する前提で取り交わした注文をもとに、実際に生産する「大日程計画」、「中日程計画」や、「小日程計画」のことで、生産計画とも呼ばれます。どの仕事をどの職場で、いつ開始していつ完了するかを計画し、生産の順序や設備を決定します。
具体的には下記の要件を充足するように立案します。
 〇納期・生産数量の遵守
 〇生産設備・担当人員の決定と準備
 〇適切な稼働率の確保
 〇購入部品や原料・材料の手配基準
 〇製品・購入部品・原料・材料の適正在庫の維持
精度の高い日程計画を実現することで、顧客満足度の向上のみならず、利益向上やコスト削減に繋がります。

1.日程計画の種類

1-1.大日程計画

「大日程計画」は、3~12か月程度の中長期的な生産計画のことで、需要予測をもとに、「中期的」な「日程計画(生産計画)」を作成してゆきます。通常は毎月作成します。「期間生産計画」や「長期生産計画」、「生産能力計画」とも、言われ、過去のデータや市場調査の結果を基に需要予測を行い、製品別の数量を予測します。この予測結果に基づいて必要な資源を準備します。
「大日程計画」では、売上、利益を確保するために、どのような生産活動をすべきかを明らかにし、人員や機械、資金、設備の準備を行います。
工程の「生産能力」を活用するために、生産する製品カテゴリー、材料や資材の大まかな「所要量」を明確にし、必要な人員を決定します。
決定した「人員」「機械」「装置」「設備」から、資金計画や人員計画を立案し、資金調達や作業員の雇用、教育を実施します。
「大日程計画」からは下記の計画が作成されます。
 〇売上計画
 〇資材購入計画(材料計画)
 〇在庫計画
 〇外注計画
 〇人員計画
 〇設備計画
 〇資金計画

1-2.中日程計画

「中日程計画」は、1~3か月程度の中短期的な生産計画のことで、お客様からの「受注」をもとに実際に生産する「製品」と「数量」を決めます。短期生産計画や基準生産計画とも呼ばれ、「週」または「日」単位で、どの製品をどれだけ生産するかを決めます。
中日程計画の基となるのは大日程計画や実際の受注量で、生産する「製品名」「数量」「完了日」(生産日)などが決まります。
また、「材料、部品」の「所要量」から「機械」「設備」「治工具」などの必要な「台数」「数量」や「作業人員」「時期」を決定し、外注する「品種」「数量」「納入時期」などを決めます。
中日程計画には下記の用途があります。
 〇機械・設備毎の工程計画の立案
 〇資材・材料計画からの発注手配、購入
 〇機械・設備・治工具の手配、準備
 〇人員計画の立案、手配
 〇外注計画の立案、手配
 〇原価計算(予算原価・標準原価)

1-3.小日程計画

「小日程計画」は、1週間~1ヶ月程度の短期的な日程計画のことで、「中日程計画」やお客の注文をもとに実際に生産する「日程計画(生産計画)」を決定します。作業日程計画や作業指示とも呼ばれ、毎日あるいは毎週立てます。

小日程計画の基となるのは中日程計画や実際の注文で、中日程計画で決定した「何をどのくらい作るか」の情報をもとに、小日程計画ではそれを実現するための詳細な作業計画を立てます。
「小日程計画」では部門や作業員のアサインを行い、設備や人員の能力を考慮したうえで作業指示を出します。
「製造工程別」に、生産すべき「品目」と「数量」「生産順序」、「完了日」「機械」「作業者」などを決め、「小日程計画」に従って「作業手配」や「外注手配」などがおこなわれます。ここでは品目と数量、生産順序、完了日を記した作業指示書を作成し、粒度の細かい指示を行います。
「ガントチャート」「PERT」「MRP」「APS」「ジョブショップスケジューリング」などの各種スケジューリング手法を使用する場合もあります。
PERT図は工程の関連性を明らかにし、生産の優先度や具体的な日程を見える化します。
ガントチャートは作業の日程を明確化し、小規模な現場単位の生産計画において、従業員全体でスケジュールを共有します。

小日程計画には下記の制約条件を考慮します。
 〇標準時間
 〇生産期間(生産リードタイム)
 〇設備別、外注別稼働カレンダー
 〇設備別稼働時間
 〇設備別段取り・切り替え時間
 〇機械・設備能力(生産能力、工程負荷計画)
 〇治工具の有無
 〇作業者数
 〇進捗情報
 〇仕掛在庫

1-4.小日程計画をサポートするスケジューラー

「小日程計画」では、「各工程」の1日の「生産順序」を決めます。
「生産順序計画」とも呼んでいます。
「生産順序」を決めるには、各工程間で連携した計画を、立てる必要があります。
「製品別」の「生産数量」、「納期」(完了時期)をもとに、各工程別の人と機械の負荷にあった計画をたてる必要があります。
その機能をサポートするソリューションとしてスケジューラーでおこなうことが多くなっています。
アイ・オーシステムでは多くの製造業のお客様で、下記ソリューションの導入実績がございます。ぜひご参考ください。

2.日程計画の必要性

日程計画を実践することで、販売計画やお客の注文に対して「生産数量」や「納期」を保証し、工場の生産能力に合った「仕事量」を与え「稼働率」の維持を実現します。
また、材料・部品の「購入手配」の基準を確立し、重要な製品や資材の「在庫量」を適正にすることで、利益向上やコスト削減を実現します。
長期的な計画に対して「人員」、「機械設備」の準備をすることで、円滑な生産活動が行われ、効率化を実現できます。

3. まとめ

製造業において、日程計画を正しく行うことは効率良く仕事を行うとともに、仕事のコストを削減するという点でも重要な役割を果たします。
製品の製造に関わる人数が多くなればなるほど、一つ一つの工程を適切に管理して、作業工程を明確にしておくことが求められます。
基本的な考え方として日程計画とは、製造に関わる資源の統制を行うことで、無駄なく確実に仕事を遂行することが可能になるため、会社としての生産性アップを見込むことができるものです。
そういった点も含めて、日程計画を実践することの意味や重要性を改めて認識する機会になれば幸いです。

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