製造業におけるDX(デジタルトランスフォーメーション) とは?

DX(デジタルトランスフォーメーション)とはWikipediaから引用すると「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」という概念であると記載されております。昨今DXはあらゆるメディアで取り上げられていますが実際には「何となくコンセプトは分かるけど、具体的なイメージが湧かない」というのが実態ではないでしょうか。
今、製造業ではあらゆる分野で製造現場へのIoT導入によるデータに基づいた生産・品質管理の高度化が加速しています。IoT関連機器の技術革新に伴って、設備や作業の状態を比較的容易に数値化できるようになり、これまで経験や知見に依存していた改善活動を定量的かつ効率的に進められるようになってきました。今後、ものづくりのデジタル化の流れはさらに活性化・常態化していくと予想されます。
今回は、DXの中でも製造業に特化した内容について、できるだけ具体的なお話をお伝えしたいと思います。

1.DX推進による2つの「効果」

最近、製造業DXって何をどうすれば良いのかという問いを多く聞きますが、その問いにお答えする前に、日本の製造業のQCDにおける問題点を明確にする必要があります。
海外に比較して、国内の多くの製造業は製品生産においても間接業務においても量産効果を出せず、スピード・コスト面で競争力を失っています。技術優位性を維持しているメーカーであっても、各種手配業務等の間接業務の抜本的な合理化によるコスト低減が競争力維持に必須の対策であり、その実現のためにDX推進が不可欠になっています。
ここではDXを推進することで製造業が得ることのできる「効果」について明確にしたいと思います。

1-1.効果1「業務効率アップ」

工場単体ではなく、製造同業態ならびにサプライヤーを中心としたバリューチェーン全般での業務プロセス改革と効率アップを目指します

【目的】
見積・納期短縮
コスト削減
ペーパーレス化

【課題】
企業間、企業内でのシステム統合化
企業間、企業内でのガバナンス定着
ステークホルダー・組織横断的な取り組み、要員体制の確立

1-2.効果2「優位性の確立」

製品性能や品質の向上にとどまらず、ターゲット市場における自社製品のポジション、市場評価をリアルタイムに収集・分析することで、製品性能や品質だけではなく他の要素も含めて、競合製品に対する優位性を築くことです。

【目的】
シェア拡大
サービス強化
競合優位性の確立

【課題】
インサイトデータ活用
デジタルマーケティング体制の確立

2.DX推進のポイント

多くの製造業においては、ERPやMES、生産スケジューラーなどのパッケージシステム、或いはスクラッチで構築した生産管理システムが稼働しています。大規模になるほど、基幹系から製造現場レベルまであらゆるシステムが存在し、各システム間をインタフェースでつなぎデータ連携しています。逆に事業規模の小さい場合は、何かしらのシステムはあるものの、多くの業務をExcel等で運用しているケースが多く見受けられます。こうした“既存システム”を考慮せずDXを推進するのは無理があります。
自社システムを利活用しながら、足らない機能を新たなDXソリューションで補完しつつ、既存システムとデータ連携しながら、サプライチェーン全体のDX化を推進することによって業務効率化が実現できます。

3.3つのDX戦略

以上のことを理解したうえで、製造業向けDXの具体的な内容について説明を進めて行きます。以下、DX戦略の項目として3つの戦略について記します。

3-1.DXプラットフォーム戦略

インターネット企業によるプラットフォームをDX基盤として活用し、共通化されたデータをセキュリティ強固に、シームレスに利用することによってサプライチェーン全般の業務効率化を実現してゆきます。
個別のシステムをシステムインテグレーションにより連結するのではなく、同一プラットフォーム上にある複数ベンダーが提供するシステムを、自由に選択し運用できるようにする考え方です。

3-2. クラウドアプリケーション戦略

B2Bにおける業務システムでは、給与、会計システムや勤怠管理、顧客管理システムなどを除いて、従来の「オンプレミスモデル(ソフトウェア使用許諾権購入)」が主流です。これは、個別業務の特殊性を起因としたカスタマイズ仕様及びレスポンスの問題や、クラウドアプリケーションの選択肢が限られている事情があります。
今後は回線速度の改善やクラウドサービスの多様化が予測されます。業務システムでもクラウド型が主流になるのは時間の問題で、これをいかに選択・活用してゆくかが重要になってきます。

3-3. ビッグデータ戦略

DX推進にあたり不可欠になるのがクラウド上に実装するデータベースとその連携です。
DX運用では経営者視点でのコスト情報や、営業視点でのダッシュボード情報、現場視点での設備管理情報や、サプライヤー視点の購買情報等、様々な種類と形式のデータが蓄積されます。
これらビッグデータを統合データベースとしてデータウェアハウスやデータレークに格納し、AIを活用した分析や予測、フィードバックを行い、セキュアに連携させる事で工場の見える化や自動化、サプライヤーとの情報共有を実現します。
従来の部門や会社ごとのシステムの役割を、包含的に考え属人的に無理にシステム連携させることで生じていた無駄を減らすための新たな仕組み作りに取り組む必要があります。

4. ご参考ソリューション

4-1. MAツール

4-2. クラウド型Web-EDI

5. まとめ

新型コロナウイルスの感染拡大は、日本の製造業にも大きな影響をもたらしました。工場の一時停止やサプライチェーンの分断、需要の変化……こうした問題に立ち向かうには、DXやデジタル化の推進が急務となっています。そしてその成功のためには、製造業が直面する課題を知り、自社の状況と照らし合わせて対応していくことが重要です。

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