原価管理のPDCAサイクルまわせていますか?課題とポイントを押さえて、原価低減につなげよう

原価管理, 生産管理

原材料や海外人件費の高騰、国際競争の激化などにより、企業経営は難しい局面を迎えています。企業によっては、幅広い顧客のニーズに細やかに答えるために、少品種大量生産から、多品種少量生産に移行しているかもしれません。

そのような状況の中、個々の製品の原価管理はより複雑に、同時に非常に重要になっています。この記事では、企業の利益に直結する原価管理について、継続的にPDCAを回すための課題とポイントについて解説します。

1.原価管理とは?その重要性とは?

原価とは、1つの製品の製造にかかるコストを指します。
一般に、売価から原価を引いたものを利益と考えるため、原価を把握し管理することは、企業経営に直結する重要な業務です。
具体的には、主に以下のような目的で行われます。

  • 原価を見える化し、売値を決定したり、利益幅を把握したりする
  • 損益分岐点を把握し、経営計画に役立てる
  • 原価の無駄を発見し、原価を低減させて、利益を上げる

2.原価管理のPDCAサイクルと課題

原価管理は、主に3~4の業務に分けられることが多く、それらの業務を行うことによって、PDCAサイクルを回すことができます。しかし、原価管理の重要性を理解していても、このPDCAサイクルを回すことに課題を感じている企業も少なくありません。

どのような課題があるのでしょうか。それぞれのステップ毎に主な課題を取り上げます。

2-1.Plan:予算原価の策定

予算原価とは、製品を製造する際にかかると想定される原価のことを指します。
企業をとりまく環境は変化しており、それに応じて予算原価は複数用意することが望ましいとされています。

たとえば、海外から輸出入を行う企業では、為替の変動が原価・利益に影響を及ぼします。また、生産量が想定より少なくなったり、逆に多くなったりすれば、原材料の仕入れ価格や仕入れ先の選定に影響が出ることもあります。このような不測の事態が発生した際に、迅速な対応を行い、経営状況への影響を抑えるために、「ベストケース」「ワーストケース」をなどの複数シナリオを想定・策定することが重要です。

しかし、原価の計算は複数の要素が含まれ、容易ではありません。そのような中で、発生していない将来について想定し、複数の予算原価を策定することは更に難しいものです。そもそも複数シナリオを想定する時間の余裕がないケースもあります。

2-2.Do:実際原価計算

算原価とは対照的に、実際原価とは、製品の製造に実際に発生した原価を指します。
実際原価が、策定していた予算原価より大きくなれば、その分利益が減少していることになります。損益分岐点を下回っている場合には、損益が発生していることになります。

そのため、実際原価は予算原価以上に正確な計算が必要です。
しかし、原価は、原材料費の他、労務費、一般管理費、設備費などの複数の要素を含みます。これらをすべて正確に把握し、計算することには難しさがあります。

さらに計算を複雑化させるのは、複数の製品を製造している場合です。
製品によって、製造設備も原材料も異なるため、全ての実際原価を正しく計算することにはその分、時間と手間が必要です。

2-3.Check:原価差異分析

想定していた予算原価と実際原価の差異を確認し、分析する原価差異分析にも課題があります。
まず、実際原価の計算に時間を取られてしまうと、原価差異分析を十分に行う時間がなくなってしまいます。

また、予算原価と実際原価の計算が正確でなければ、分析の精度も低くなります。
さらに、原価差異の原因を把握するためには、製品別の原価差異だけではなく、工程別の原価差異の分析が求められることも想定されます。

これらの複数の視点で分析を行うために十分なデータがなければ、分析が不十分となり、差異が発生した原因を把握することも難しくなります。

2-4.Action:施策立案(製造活動改善、最適購買の実施)

原価分析に限らず、業務の中でPDCAサイクルを回す際、 CheckとActionは継続的に活動を改善するために重要な役割を持ちます。
原価管理においても、原価の差異を小さくしたり、原価を低減したりするために必要な施策を立案するためには、原因の分析の精度が影響します。

そして、その分析の精度に影響を与えるのは、予算と実績の正確な計算です。
原価計算が正確性に欠ければ、原価の差異分析の精度が下がり、差異分析の精度が下がれば、立案した施策で得られる効果が不十分となります。
PDCAサイクルの前半工程でズレが生じていると、PDCAサイクルをまわしているつもりであっても、改善に繋がらなくなってしまいます。

3.原価管理システムを使ってPDCAサイクルを正しくまわす上での課題

このように、原価管理のPDCAサイクルを正しくまわし、継続的に改善活動を行うには、難しさと課題があります。

企業を取り巻く環境が変動している状況下では、複数の要素を考慮して原価計算・原価分析を行う必要があり、それらすべてを人の手で行うことには限界があります。
そこで、原価管理システムを使うことで、手間を省き、正確な原価管理を行うことに繋がります。
原価管理システムでどのようなことができるのか、主なメリットを取り上げます。

3-1.ERP(基幹業務システム)との連携による正確なデータ収集と計算

原価管理のPDCAサイクルをまわすには、まず正確な原価計算を行うことが必要です。
原価には複数の要素が含まれますが、原価管理システムの多くは、ERP(基幹業務システム)との連携機能を持っています。

生産管理システムや労務管理システムなどに入力されたデータと連携させることにより、原価計算に必要なデータ入力の作業を省き、かつ正確なデータを収集することができます。
原価管理システムは、これらのデータを連携して計算も自動で行ってくれますので、原価計算にかかる手間を大幅に削減することができます。

3-2.為替変動等の複数シナリオのシミュレーションによる、リスクへの対応

予算原価の策定の際には、為替の変動、原材料の高騰、仕入先の変更など複数のシナリオを想定することが必要です。
これらの、複数シナリオでのシミュレーションにも対応しており、簡単に複数の予算原価を算出することができます。

3-3.複数の切り口での原価を自動計算・差異分析

原価の差異分析の課題かつ重要性は、差異の原因の特定・改善点の把握のために、複数の切り口で分析することにあります。

原価管理システムを用いれば、製品別・工程別・部門別などの複数の切り口での原価を自動で計算し、差異分析を行うことができます。
また、労務費・材料費などの細部の差異も分析することができるため、正確な分析・原因の特定とそれに応じた施策の検討・立案が行えます。

3-4.リアルタイムでの差異分析

原価管理システムでは、原価の差異分析をリアルタイムで行うことも可能です。
原価の差異を常に把握することで、不測の事態が発生した際に、すぐに察知し、迅速な対応を取ることができます。

4.まとめ

変動する環境の中で、企業が健全な経営を行うには、原価管理を適切に行い、利益を上げる改善活動を継続することが重要です。
一方で、原価計算やシミュレーション、分析には難しさがあり、PDCAサイクルをまわせていないケースもあります。

原価管理システムを用いれば、原価計算や分析の手間を省き、PDCAサイクルを適切にまわし、精度の高い施策を立案・実行することができます。
原価管理システムを導入していない企業の方は、導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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